「(シンジには俺と同じような道には進んで欲しくない)キョウでいいよ、同い年だろ?敬語もね」
「う、うん。よろしく、キョウ」
シンジはサードインパクトが起きてから初めて笑顔を浮かべた。
第一話「旅立ち」
シュウジ
シンジが術を教わり始めてから約半年の月日がたとうとしていた。
シンジは以前より落ち着き、その黒い澄んだ瞳には強い意志が現れていて、顕著で細身の体から細いながらも筋肉がしっかりとしていた。
出会ったときはあまりのパニックによく顔を見ていなかったがキョウの顔は、男とは思えないほどの女顔。(前、この事を言ったらひどく落ち込んでいた。)
少し髪を上げていて、髪の色は黒に少し茶色がかっている。
瞳の色も同様だ。
背は僕と同じぐらいだ。
術の修行ははっきり言って地獄だった。
(そのことに対して文句を言ったら、「これで?」と軽くいなされてしまいストレスが溜まったのを覚えている。)
でも術を覚えていくのは楽しかった。
覚えていくことにキョウに褒められていくからだ。
僕は今まで生きていた中でほとんど褒められたことがない。
だから嬉しかったのだ。
ご飯に関しても事欠かなかった。
サードインパクトで細菌さえもいなくなったので、物が腐ることなくスーパーからとってくればいい。
そして、ついに時はやって来た。
「よーし、シンジ。今日はここまで。」
いつものように術の修行が終わって疲れているとキョウが、
「まあ、だいぶ良くなったな。約半年にしては上出来だ。」
ちなみにシンジの為に言っておくがシンジは普通の術士レベルはもうすでに超えている。
ただキョウがもっと凄いのだ。
だてに「世界一の術士だ!」と言っていたわけではないというわけだ。
「シンジ。世界樹って知っているか?」
「世界樹ってよくRPGに出てくるあれ?」
シンジは「(あんな死者を生き返らす樹なんてあるの?)」と思っていたら、
「う〜ん、ちょっと違う。世界樹ってのは、例えばシンジ、
シンジは『あの時こうすれば良かった』って思った事はない?」
キョウはシンジに質問する。
「それは、今思ってるよ!」
シンジは少し怒り気味に言った。
「まあ、そう怒るな。太い枝から細い枝が枝分かれしているとするだろう?
太い方の枝の世界で"もしこうしたら"、という可能性の世界が細い方の枝の世界なんだよ。
太い方の枝の世界の戦争で勝った国が、細い方の枝の世界では負けているのかもしれないし、
ただ誰かの服の色が違うだけなのかもしれないけれどな。
その中で、シンジの世界は"EVAがあって使徒が存在し、
サードインパクトが起きて、すべてがLCLに還元されてしまう可能性"の世界だったんだよ。
他の世界には使徒がいないのもあるだろうし、剣と魔法の世界なんてのもあるし。
例えば、俺の世界みたいに術が使える世界もあると言うわけ。
とにかくあらゆる可能性が、一つの世界として存在しているんだよ。
…そして、その無限の可能性すべてを統合したのが"世界樹"ってわけ、わかった?」
キョウは長々と説明した。
「う、うん」
シンジは曖昧な返事を返す。
「なんだよ、気のない返事だな。
次は因果律の話をするぞ。
俺らがこの世界を戻っても結局サードインパクトが起きるんだよ。」
「な!!何で?」
「宇宙の修正力ってやつだよ、これが大変なんだ。」
キョウは軽くため息をつく。
「じゃあ、如何するの!!!」
シンジはさらに怒っている。
「落ち着けよ、世界樹の無限の可能性の中には、シンジの世界とまったく違った道筋を通って
同じ状態に辿りついた世界があるんだよ。
"対になった世界"って言うんだよ。
その世界はシンジの世界と全く無関係に成長しながらも、
対になった世界であるためにシンジの世界と影響を及ぼしあっている。
だからその世界を救う事が出来れば、シンジの世界にも何かしらの影響があるんだよ。」
「でも、因果律の影響は?」
シンジは不安そうに言う。
「そこの世界の方が因果律が格段に低いんだよ。
完全にと言うわけじゃあないけど。
だからそこの世界に行きこの世界を助けると言うわけ。」
キョウはシンジに言い聞かせるように言った。
「よ、よかった〜」
シンジは安堵する。
「まあ、そういうことだ。
ところでシンジ、いつにもどるつもりだ?」
キョウは尋ねる。
「・・・4年前、使徒が来る4年前に戻りたい。」
「なんで4年前なんだ?」
「仲間を集めて体制を立てたいんだ。」
「う〜〜〜ん」
キョウが悩んで言う。
「よし、わかった。まあ、大丈夫だろ。
じゃあ、いくぞ!」
「今から〜〜〜〜〜〜!!!」
シンジが叫ぶ。
「当たり前だろ、なに言ってんの?」
「でもどうすれば?」
「・・・・・・・・・・・・」
「ナンカイッテヨ〜〜〜〜!!!!」
シンジの叫び声が響く。
「まあまあ、あそこにあるロンギヌスを使えばいいだろう。」
キョウは空にあるロンギヌスを指差す。
「なんでロンギヌスをつかうの?」
「ロンギヌスにはどうやら増幅機能があるらしいしな。
それを使って、対になった世界に行くんだよ。
あ、それからシンジにもエヴァに乗ってもらうよ。」
キョウは笑顔で言った。
「え、でもむこうの世界にも僕がいるんじゃないの?
だからサポートしようと思っていたのに。
それに14歳しか乗れないんじゃ・・」
シンジは不思議そうに言う。
「だから術で年齢を変えんだよ。
そうすれば乗れるだろ?それに3号機とか、4号機とかあるんだろ?
よし、行くぞ!!!」
キョウはそう言い切って、ロンギヌスを手に持ち術を唱え始める。
空には立体型魔方陣が浮かび始める。
「(さよなら、絶対に助けるから)」
シンジがそう思いながら赤い海を見ると、そこには制服姿の綾波がこちらを向いて微笑んでいる。
「あ、綾波」
「(いってらっしゃい)」
綾波がそういっている感じがした。
「いってきます」
シンジの頬に、涙が通っていきながらも微笑んだ。
["空間転移術"混沌の道]
キョウが術を唱え、シンジと共に消えていった。
その時、赤い海、この世界から最後の生物が消えていった。
後書きのようなもの
どうも、シュウジです。やっとこの赤い海から抜けられました。
綾波も登場、少しだけど。次からはもっと書きたいとおもっています。
感想とか送ってくれれば幸いです。
変な所も多いかも知れませんが宜しく お願いします。